有機化学基礎
炭化水素の分類

炭化水素:(烃)、炭素原子と水素原子のみから構成される有機化合物である。
- 鎖式炭化水素・脂肪族炭化水素:
- 飽和:アルカン
(烷烃):全て単結合、自由回転できる。 - 不飽和:
- アルケン
(烯烃):二重結合 が一つある。 - アルキン
(炔烃):三重結合 が一つある。
- アルケン
- 飽和:アルカン
- 環式炭化水素:
- 飽和:シクロアルカン
(环烷烃):環が一つある。 - 不飽和:
- シクロアルケン
(环烯烃):環が一つあり、二重結合 が一つある。 - 芳香族炭化水素:ベンゼン環を含む。
- シクロアルケン
- 飽和:シクロアルカン
飽和:炭素原子どうしの結合がすべて単結合でつながっている。自由回転できる。
不飽和:二重結合や三重結合があり、まだ他の原子を取り込む余地がある。
不飽和度
水素不足指数。
分子式
ハロゲン原子
飽和の炭化水素にとって、
:すべて単結合、環なし。 :二重結合1つまたは環1つ。 :三重結合1つまたは二重結合・環2つ。 :ベンゼン環がある可能性がある。
炭素原子間の結合距離:
単結合>ベンゼン環の炭素間結合>二重結合>三重結合
表記法
- 分子式:分子を構成している原子の種類とその数を表した式。
- 示性式:分子式から官能基を抜き出して明示した式。
- 構造式:原子間の結合を価標を用いて表した式。
- 組成式:原子数の比を最も簡単な整数比で表した式。
同族体:一般式が同じで、分子数が
命名法
枝分れがない非環式炭化水素

許容慣用名:
:エテン(ethene)——エチレン(ethylene); :プロペン(propene)——プロピレン(propylene); :エチン(ethyne)——アセチレン(acetylene); :エテニル基(ethenyl-)——ビニル基(vinyl-)(乙烯基)。
枝分れがある非環式炭化水素
命名の手順
主基の決定:分子内で最も優先順位の高い官能基(主基)を探す。第二接尾語となる。
主鎖の決定:以下の条件を上から順番に優先して満たす、最も連続した炭素鎖を主鎖とする:
- 主基が結合している炭素を含む。
- 多重結合をできるだけ多く含む。
- 炭素数が最も多い。
語幹となる。
主鎖の番号付け:主鎖のどちらかの端から番号を振る。以下の順序で位置番号が最小になる方向を選ぶ:
- 主基の位置番号が最小になるように振る。
- 主基がない場合、二重結合・三重結合の位置番号が最小になるように振る。
- 主基がない場合、すべての置換基の位置番号の組み合わせが最小になるように振る。
- すべて同じ場合、アルファベット順で先に来る置換基の番号が最小になるように振る。
置換基の命名:主鎖以外の飛び出た部分を置換基として命名する。同じ置換基が複数ある場合は、ギリシャ語の数詞をつける。接頭語となる。
名前の組み立て:置換基(接頭語)をアルファベット順に並べる。数詞はアルファベット順の比較には含めず、英語で本体の名前で比較する。
数量词
- モノ(mono);
- ジ(di);
- トリ(tri);
- テトラ(tetra);
- ペンタ(penta);
- ヘキサ(hexa);
- へプタ(hepta);
- オクタ(octa);
- ノナ(nona);
- デカ(deca)。
第一接尾語
:-ane アン(烷) :-ene ヱン(烯) :-yne イン(炔)
代表的な官能基

IUPAC 命名法
IUPAC:接頭語(置換基)+ 語幹(主鎖の炭素の数)+ 第一接尾語(主鎖の飽和状態)+ 第二接尾語(主基)
例:

2-メチルペンタン:
- 主基の決定:特殊な官能基がないので、第二接尾語はなし。
- 主鎖の決定:炭素数は
であって、語幹はペンタ。 - 主鎖の番号付け:左から数えると置換基は 2 位。右から数えると 4 位。最小になる左から右を採用します。
- 置換基の命名:2 位の炭素に、炭素 1 つのメチル基がついている。接頭語は 2-メチル。
- 名前の組み立て:結合はすべて単結合なので、第一接尾語は-アンである。
2,4-ジメチルヘキサン:
- 主基の決定:特殊な官能基がないので、第二接尾語はなし。
- 主鎖の決定:最も長く連続して繋がっている炭素の数は
個である。よって、名前の中核となる語幹はヘキサとなる。 - 主鎖の番号付け:左端から数えると置換基の位置は 2 位と 4 位の組み合わせ
になる。右端から数えると 3 位と 5 位の組み合わせ になる。番号の組み合わせを比較した際、より小さい数字の組み合わせとなる「左から右」の順序を絶対的に採用する。 - 置換基の命名:2 位と 4 位の炭素に、それぞれメチル基が結合している。同じ置換基が複数(この場合は
つ)存在する場合、ジを付与しなければならない。位置番号をカンマで区切り、接頭語2,4-ジメチルとなる。 - 名前の組み立て:炭素骨格はすべて単結合で構成されているため、第一接尾語は-アンとなる。
3-エチル-6-メチルオクタン:
- 主基の決定: 特殊な官能基がないので、第二接尾語はなし。
- 主鎖の決定:最長の炭素鎖は
個である。語幹はオクタとなる。 - 主鎖の番号付け: 左から数えると置換基は
位、右から数えても 位となる。完全に同点となった場合のみ「アルファベット順」の特別ルールが発動する。エチル (Ethyl) の E はメチル (Methyl) の M より先に来るため、エチル基に小さな番号の特権を与える。よって、「右から左」の順序を採用し、エチル基を 3 位とする。 - 置換基の命名: 3 位にエチル基、6 位にメチル基が存在する。接頭語として並べる際も、数字の大小ではなく必ずアルファベット順に記述しなければならない。よって、接頭語の並びは3-エチル-6-メチルとなる。
- 名前の組み立て: 主幹となる 8 個の炭素鎖はすべて単結合であるため、第一接尾語は-アンを用いる。
4-(プロパ-2-イン-1-イル)-4-プロピルヘプタ-1,5-ジエン:
主基の決定: 特殊な官能基がないので、第二接尾語はなし。
主鎖の決定:「最高優先度の結合(この場合は二重結合)を最大限含む鎖」を主鎖としなければならない。三重結合を含む
炭素の鎖よりも、二重結合を つ含む 炭素の鎖が優先して選ばれる。よって、語幹はヘプタとなる。 主鎖の番号付け:
つの二重結合に可能な限り小さな番号を与える必要がある。左から数えると 1 位と 5 位、右から数えると 2 位と 6 位となるため、より小さい「左から」の経路を採用する。 置換基の命名: 4 位の炭素に
つの複雑な枝が結合している。 右側の枝:単純な 3 炭素の鎖なので、プロピル基。
上側の枝:内部に三重結合を含む 3 炭素の鎖。主鎖と直接つながる炭素を強制的に 1' 位として内部番号を振ると、2' 位に三重結合-インが来る。これが全体として置換基-イルになるため、まとまりとして (プロパ-2-イン-1-イル) と表記する。これらを並べ、接頭語は 4-(プロパ-2-イン-1-イル)-4-プロピル となる。
名前の組み立て: 主鎖には二重結合-エンが
つ(1 位と 5 位)存在するため、数詞の「ジ」を組み込む。第一接尾語は-1,5-ジエンとなる。
異性体
構造異性体
分子数が同じであるのに、構造式が異なる。
- 炭素骨格が異なる:n-hexane と 2-methylpentane。
- 置換基の位置が異なる:2,2-dimethylpentane と 2,3-dimethylpentane。
- 官能基が異なる:buta-2-one と butanal。
幾何異性体
沸点・融点が異なる。

鏡像/光学異性体
手性分子。
沸点・融点、化学性質が同じ、光学性質/生理作用が異なる。
- イブプロフェン:R 体は効果あり、S 体は効果なし。
- サリドマイド:R 体は催眠作用あり、S 体は催奇性あり。
不斉炭素原子
アルカン(alkane)
鎖式飽和炭化水素
多くの炭化水素は水に溶けにくい(疎水性)。無極性溶媒に比較的に溶けやすい。
炭素数が増やすにつれて、沸点・融点が高くなる。
直鎖状アルカン、常温常圧で、
:気体; :液体; :固体。 枝分かれが増えると、
- 分子間力は弱まり、沸点が下がる;
- 対称性が高くなり、融点が下がる(結晶しやすい)。
基本的に反応性が乏しい(
単結合が安定)。 酸素と燃焼する(燃料として利用される)。
光を当てると、ハロゲンと置換反応する。
メタン(methane)
構造
炭素原子を中心とする正四面体構造。
製法
脱炭酸反応。酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウムを混合し加熱する。
水上置換法で捕集。

アルケン(alkene)
鎖式不飽和炭化水素
- 二重結合
のうちの 1 本の結合は弱いため、付加反応しやすい。 - 臭素
(赤褐色)が付加すると、脱色される。 - 過マンガン酸カリウム
(赤紫色)が酸化すると、脱色される。
エチレン(ethylene)・エテン(ethene)
構造
6 個の原子がすべて同一平面上。自由回転ができない。
性質
ハロゲン 、ハロゲン化水素 の求電子付加反応
臭素

Markovnikov(マルコフニコフ)則:非対称なアルケンに

水の求電子付加反応
酸触媒が必要。マルコフニコフ則に従って付加反応が起こて、アルコールが生成する。

接触水素化

付加重合
- 単量体(モノマー):
; - 高分子(ポリマー):
。

オゾン分解
開裂後、炭素原子が水素原子とアルキル基に結合している場合、生成物はアルデヒドである。
開裂後、炭素原子が 2 つのアルキル基に結合している場合、生成物はケトンである。
ケトン—アルデヒドまで。

過マンガン酸塩による酸化
加熱・酸性、生成物はケトン
の場合は、そのまま残す。 加熱・酸性、生成物はアルデヒド
の場合は、酸化されて、カルボン酸 になる。 冷・希薄・中性/塩基性、生成物はジオールである。
ケトン—カルボン酸まで。

製法
分子内脱水。約
水上置換法で捕集。
シクロアルカン(cycloalkane)
環式飽和炭化水素
- アルカンと同じ反応性。
- 炭素数 3,4 の場合、結合角に無理があるため、開環しやすい。
- 炭素数 5 以上で安定。
- 命名法:cyclo-(シクロ-)+ 語幹。
アルキン(alkyne)
鎖式不飽和炭化水素
のうちの2本の結合が弱いため、2 回付加反応が起こる。 - 臭素
(赤褐色)が付加すると、脱色される。 - 過マンガン酸カリウム
(赤紫色)が酸化すると、脱色される。
アセチレン(acetylene)・エチン(ethyne)
構造
4 個の原子がすべて同一直線上。(自由回転ができない)
検出
非常に弱い酸であるため、
性質
ハロゲン 、ハロゲン化水素 の求電子付加反応
2 当量反応できる。
Markovnikov(マルコフニコフ)則に従って付加反応が起こる。1 当量反応する場合、trans体が発生。(立体障害のため、安定性がある。)
三重結合を構成する炭素原子は

水の求電子付加反応
Markovnikov(マルコフニコフ)則に従って付加反応が起こる。
生成したヒドロキシル基のついたアルケンは、ビニルアルコールという。
不安定のため、容易に水素転位が起こり、ケトンもしくはアルデヒドへと変わる。(ケト-エノール互変異性)
アセチレンだけはアセトアルデヒド
に変わる。 他のアルキンはケトンに変わる。

接触水素化
アルケンの状態で止めることが出来ず、アルカンにまで還元される。

別の触媒を使えば、アルケンまで止めることができる。

- Lindlar catalyst はシン付加、cis- を生成する。
はアンチ付加、trans- を生成する。
不完全燃焼
燃焼すると、すす(煤、煤烟)と光が放出される。
放出される量:
分子中の
十分な酸素を混合して燃焼させると、酸素アセチレン炎が発生する。溶接などに利用される。
付加重合
アセチレンの 3 分子重合。
ベンゼンが生成する。
高分子付加重合
ビニル基:

製法
炭化カルシウム
水上置換法で捕集。
シクロアルケン
環式不飽和炭化水素
- アルケンと同じ反応性。
- 命名法:cyclo-(シクロ-)+ 語幹。
アルコール(alcohol)
炭化水素の
命名法:アルカンの語尾(-e)をオール(-ol)に変え、
分類:
- 一価、二価、三価:
基の数で決まる。 - 第一級、第二級、第三級:
基に結合している炭素原子に、他の炭素原子が結合している数で決まる。

性質
極性
極性のある官能基を有するため、水に溶けやすい、沸点が高い。(水素結合)
アルキル基は疎水性がある。ヒドロキシ基は親水性がある。
アルキル基が増えると、極性物質に溶けにくくなる。
酸性・塩基性
水中で電離しにくいため、多くの場合は中性である。
金属ナトリウム
アルコールは、酸として動ける。
酸化反応
第一級アルコール: 酸化するとアルデヒドに、さらに酸化するとカルボン酸になる。
第二級アルコール: 酸化するとケトンになる。
第三級アルコール: 酸化されにくい。
一般的に、第一級アルコールのクロム酸酸化をアルデヒドで止めることが難しい。その原因は水である。そのため、二つの方法がある。
- アセトアルデヒドは揮発性が高いため、追い出すことで酢酸への酸化を防ぐ。
- 水を必要としない酸化剤:クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を使うと、アルデヒドで止める。

脱水
比較的低温で(エタノールの場合

比較的高温で(エタノールの場合

Saytzeff(ザイツェフ)則に従って脱離反応が起こる。水素が最も少ない炭素から水素を取り除く。

製法
メタノール
: エタノール
:
エーテル(ether)
1 個の酸素原子に 2 個の炭化水素基が結合した化合物である。
命名法:両側の置換基アルファベット順で並べ、「エーテル」に付ける。また、置換命名法(IUPAC):短い
性質
- 水に溶けない。
- 沸点は低い。
と反応しない。 - 酸化されない。
などの強酸による開裂が起こる

アルデヒド(aldehyde)
アルデヒド基
命名法:アルカンの語尾(-e)をアール(-al)に変え、
性質
還元性
自身は酸化されて、カルボン酸になる。
銀鏡反応を示す。銀
の単体が生成する。 二アンミン銀(I)イオンを含む水溶液の中にアルデヒドを加える。そして約
の湯で温めると、試験管壁に銀が析出し、鏡のようになる。 フェーリング液を還元する。赤色沈殿
が生成する。 フェーリング A 液:
溶液。 フェーリング B 液:ロッシェル塩(酒石酸ナトリウムカリウム四水和物)と水酸化ナトリウム溶液。
フェ一リング液にアルデヒドを加えて加熱すると、酸化銅(I)
の赤色沈殿を生じる。
付加反応
カルボニル基
水和反応(


ヒドリド還元

水溶性
アルデヒド基は親水基であって、炭素が少ないアルデヒドは水溶性である(中性)。
製法
銅線を加熱して生じた酸化銅(II)
でメタノ一ル を酸化すると,刺激臭のあるホルムアルデヒド が生じる。このとき,酸化銅(II)は還元されて銅になる。 硫酸酸性のニクロム酸カリウムでエタノ一ル
を酸化すると,アセトアルデヒド が生じる。アセトアルデヒドは沸点が低いため,冷水中に水溶液として捕集する。
ケトン(ketone)
ケトン基(カルボニル基)
第二級アルコールの酸化で生成する。
命名法:アルカンの語尾(-e)をオン(-one)に変え、
性質
還元性がない。
付加反応
カルボニル基
水和反応(


ヒドリド還元

水溶性
ケトン基は親水基であって、炭素が少ないケトンは水溶性である(中性)。
製法
2-プロパノールの酸化:
酢酸カルシウムの乾留:
ヨードホルム反応
をもつアルデヒド( )/ケトン( )、カルボン酸( )の場合反応しない。 - 酸化によってアセチル基
を生じる 。
- 反応を示す唯一のアルデヒド:アセトアルデヒド
。 - 反応を示す唯一の第一級アルコール:エタノール
。

カルボン酸(carboxylic acid)
カルボキシ基
第一級アルコールやアルデヒドの酸化で生成される。
命名法:アルカンの語尾(-e)を酸(-oic acid)に変え、
許容慣用名:
:ギ酸(蟻酸 formic acid) :酢酸(acetic acid) :安息香酸(benzoic acid) :シュウ酸(oxalic acid) :乳酸(lactic acid) :クエン酸(citric acid) :酒石酸(tartaric acid)

性質
酸性
酢酸の
わずかに電離し、弱い酸性を示す。
酸性:
酸無水物化反応
分子間脱水:
2 分子のカルボン酸の間で脱水縮合を起こし、酸無水物が生成される。

分子内脱水:

アセチル化
酸無水物を用いて、エステルが生成される。

ヒドリド還元
カルボン酸の場合、
第一級アルコールまで還元される。

エステル化反応
カルボン酸とアルコールの脱水縮合により、エステルが生成される。
酸触媒が必要(濃硫酸)、可逆反応(エステルの加水分解)。

水溶性
カルボキシ基は親水基である。
炭素数が少ないカルボン酸、水によく溶けて酸性を示す。
水素結合
分子間に水素結合が生成しやすい。
2 分子が会合して二量体を形成する。 同程度の分子量の有機化合物に比べ、融点・沸点が高い。
エステル(ester)
エステル結合
酸とアルコールが脱水して生成される。
命名法:酸(-oic acid)の部分を(-ate)に変える。日本語では、「カルボン酸の部分の名前」+「アルキル基の名前」。
性質
エステル化反応
酸脱羟基醇脱氢。カルボン酸の部分に参照。

加水分解
エステル化が可逆反応。
酸触媒が必要。(希酸,

鹼化
エステルの鹼化(けん化)。強塩基を用いた加水分解する。

揮発性
異性体のカルボン酸に比べて、沸点が低い(水素結合がない)。
水に溶けにくい、有機溶媒に溶ける。
果実臭い、芳香がある揮発性液体が多い。
油脂とその周辺
脂肪酸
鎖状の 1 価カルボン酸である 。生化学的に偶数の脂肪酸が多い。
炭化水素基に二重結合の有無で、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸が分類される。
油脂
油脂は、高級脂肪酸とグリセリン(甘油、丙三醇)のエステル。(トリグリセリド)
脂肪油:常温で液体のもの。不飽和脂肪酸を含む、植物性の油脂が多い。
脂肪:常温で固体のもの。飽和脂肪酸を含む、動物性の油脂が多い。

性質
水溶性
水に溶けにくい、有機溶媒に溶ける。
鹼化
油脂をけん化すると、脂肪酸の塩とグリセリンが生成される。

けん化価:油脂
けん化価大:分子量が小さい。
けん化価小:分子量が大きい。
付加反応

ヨウ素価:油脂
ヨウ素価大:不飽和脂肪酸多い。
ヨウ素価小:不飽和脂肪酸少ない。
石鹸(セッケン)
高級脂肪酸のナトリウム塩、弱酸強塩基塩のため、水溶液は塩基性(塩基性洗剤)。
油脂に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると、セッケンが得る。(けん化)

親水コロイドだから、反応後の溶液はコロイド溶液である。多量の
界面活性剤
界面活性剤:表面張力を低下させ、固体表面のぬれやすくなる物質である。疎水基と親水基両方を持つ。

ミセル:疎水基が集まった集団である。コロイド溶液の性質を示す。
洗浄作用:油汚れを疎水基で取り込む。親水基は外側に向けて分散する。
合成洗剤
硫酸アルキルナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム。(中性洗剤)
高級アルコールを硫酸でエステル化し、水酸化ナトリウムで中和する。
セッケンと合成洗剤の比較
油:セッケンと合成洗剤は同じである。
塩基性に弱い動物性繊維(絹、羊毛など):セッケンは適さない。
希塩酸:セッケンは適さない。
が含む硬水:セッケンは適さない。 合成洗剤はセッケンに比べて自然の力で分解されにくく、環境に悪い欠点がある。
芳香族化合物(aromatic compounds)
芳香族炭化水素アレーン:炭素と水素だけで構成される芳香族化合物。
命名法
- 置換基が 1 個の場合:置換基 + benzene。
- 置換基が 2 個の場合:
:o-(オルト ortho) :m-(メタ meta) :p-(パラ para)
許容慣用名:

ベンゼン(benzene)
構造
- 6 個の炭素原子が正六角形に結合した特殊構造であり、炭素間の結合はすべて 1.5 重結合。
- すべての原子(12個)が同じ平面上にある。
- 不飽和度:
。
特徴
- 芳香がある無色揮発性液体、引火性ある、有毒、水より軽い。
- 水とは混ざらない、有機化合物をよく溶かす。
の割合が高いため、燃焼時多量のすすを出す。
性質
芳香族性
ベンゼンは二重結合 3 つがあり、電子が豊富である。
しかし、アルケンに比べて安定な構造しているので、強い求電子剤が必要である。
芳香族化合物は、なるべく芳香環を保つような反応をするため、置換反応は付加反応より発生しやすい。
求電子置換反応:ハロゲン化

求電子置換反応:ニトロ化
濃硫酸・濃硝酸の混合物にベンゼンを加えて加熱すると、ニトロベンゼンが生成される。

求電子置換反応:スルホン化
濃硫酸にベンゼンを加えて加熱すると、ベンゼンスルホン酸が生成される。
可逆反応 :脱離した

それに水酸化ナトリウム溶液を入れると、ベンゼンスルホン酸ナトリウムが析出する。
求電子置換反応:フリーデル・クラフツ(Friedel-Crafts)反応

配向性
オルト・パラ配向性(o, p-配向性)
元の置換基がベンゼン環に電子を与える性質(電子供与性)を持つ場合、反応は o-位と p-位で進みやすくなる。一般に、置換反応の速度を速める「活性化基」として働く。
代表的なのは
ハロゲンは反応速度を遅くするが、配向性は o, p-配向性を示す。
メタ配向性(m-配向性)
元の置換基がベンゼン環から電子を引き抜く性質(電子求引性)を持つ場合、反応は m-位で進みやすくなる。ベンゼン環の電子密度を下げるため、反応速度を遅くする「不活性化基」として働く。
代表的なのは

付加反応
特定の条件(触媒など)が必要である。
フェノール(phenol)
構造
ベンゼン環にヒドロキシ基
アルコール類と同様、含有するヒドロキシ基
命名法
慣用名が多く用いられる。

特徴
酸性
水溶液中で僅かに電離し、弱い酸性を示す。
共鳴安定化(電子の非局在化)のため、フェノールは弱い酸性がある、アルコールは中性である:

融点・沸点
分子間で水素結合するため、融点・沸点が高い、多くは常温で結晶である。
検出
フェノール類は塩化鉄(III)
性質
臭素化
臭素水と反応して、2,4,6-トリブロモフェノール(白色沈殿)が生じる。、
ニトロ化
濃硝酸を加えて加熱すると、ニトロ化してピクリン酸(2,4,6-トリニトロフェノール)が生じる。
金属ナトリウムとの反応
エステル化
カルボン酸・酸無水物と反応して、エステルを作る。(アルコールと共通)


中和反応
塩基と中和反応して、塩を生成し水に溶ける。(酸としての性質)
弱酸の遊離
フェノール類の塩の水溶液に二酸化炭素を吹き込むと、フェノールが遊離する。
酸性順:
製法
ナトリウムフェノキシド経由

- クロロベンゼンの加水分解。
- ベンゼンスルホン酸ナトリウムのアルカリ融解。
クメン法
工業的な製法。
プロペンによる付加反応 (クメンの生成)。

クメンを酸化し、クメンヒドロペルオキシドを生成する。

酸加水分解すると、フェノールとアセトンが生成する。

塩化ベンゼンジアゾニウムの加水分解
塩化ベンゼンジアゾニウムの製法:

ジアゾかは、必ず氷冷(


芳香族カルボン酸
構造
ベンゼン環にカルボキシ基
主な芳香族カルボン酸:

性質
弱酸性
常温で固体、冷水に溶けない、温水に溶けて弱酸性を示す。
中和反応
塩基と中和反応、塩となって、水に溶ける。(酸としての性質)
弱酸の遊離
カルボン酸の塩の水溶液に塩酸を入れると、カルボン酸が遊離する。
エステル化
アルコールと反応してエステル化。(カルボン酸の性質)
酸触媒が必要である。
フタル酸
二価の芳香族カルボン酸、合成樹脂や合成繊維の原料として用いられる。
フタル酸は、ナフタレンやo-キシレンを触媒存在下、空気酸化で生成される。

テレフタル酸
二価の芳香族カルボン酸、合成樹脂や合成繊維の原料として用いられる。
テレフタル酸は、石油からp-キシレンを生成し、触媒存在下、空気酸化で生成される。

サリチル酸
性質
サリチル酸は、フェノール類とカルボン酸両方の性質を示す。
エステル化
サリチル酸メチル:消炎鎮痛剤。
アセチル化
アセチルサリチル酸:解熱鎮痛剤、アスピリン。
アセチルサリチン酸は、
製法:コルベ・シュミット反応
ナトリウムフェノキシドに高温・高圧下、
さらに、希酸を作用させると、サリチル酸が遊離する。

アニリン
アミン
アンモニアの水素原子は炭素水素基で置換した構造。(炭化水素-アミノ基置換)
アニリン
ベンゼンの水素原子の一つをアミノ基で置換した構造。
特徴
- 無色の油状液体、水に溶けにくい、有機溶媒によく溶ける。
- 弱塩基性を示す。
- 空気中の酸素で徐々に酸化され、赤褐色に変化する。
- アニリンの検出反応:さらし粉
で酸化すると、赤紫色に呈色する。 - アニリンブラック:二クロム酸カリウム
で加熱酸化すると、黒色沈殿が生じる。
性質
中和反応
酸と中和すると塩になり、水に溶ける。
アニリン塩酸塩に水酸化ナトリウム等の強塩基を入れると、アニリンが遊離される。
アセチル化
アニリンに無水酢酸を作用すると、アミド結合を持つアセトアニリドが生成される。
酢酸と反応すると、水が生成し、アセトアニリドの加水分解が発生してしまう。

ジアゾ化
アニリンに塩酸と亜硝酸ナトリウムを
アゾ化合物:アゾ基

氷冷しない場合、窒素が脱離してフェノールに分解される。
反応機構はフェノールの製法部分参照。

アゾ化合物のジアゾカップリング
冷却し塩化ベンゼンジアゾニウムに、ナトリウムフェノキシド水溶液を加えて、アゾ化合物 p-ヒドロキシアゾベンゼンが生成する、アゾ染料として利用される。

製法
スズ
そして、強塩基でアニリンを遊離させる。
系統分析
系統分離
原理
抽出:溶媒に対する溶解度の差を利用して、混合物を分離する操作である。
中和反応を利用する:
酸性化合物を塩基、塩基性化合物を酸と反応すると、塩になる。
有機化合物は水に溶けにくいが、塩になったら水に溶けて、水層に移動する。
中性化合物は、最後までエーテル層に残る。
弱酸、弱塩基の遊離を利用する。
酸性順:
塩基性順:

元素分析
成分元素の検出
(炭素): 酸化銅(II)を加えて完全燃焼して(
)、水酸化カルシウム水溶液が白濁する。 (水素): 酸化銅(II)**を加えて完全燃焼して(
)、硫酸銅(II)無水塩を青変する。 (ハロゲン、 除く): バイルシュタイン反応。銅線につけて燃焼、炎色反応:青緑色。
(窒素): 水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱する。発生した気体(
)に濃塩酸に近づけると白煙( )が生じる。( )は不可。 融解、 が生じる。 を加えて、 で検出する。紺青が生じる。
(硫黄): - 水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱する。冷却後、酢酸鉛(II)を加える。硫化鉛(II)が生じる、黒色沈殿。
- メチオニンの検出は不可、
融解で代用する。
組成式の決定
質量を測定した試料を完全燃焼させ、生成した二酸化炭素と水の質量を求める。
各元素の質量から、各元素の原子比を求め、組成式を決定する。

先にソーダ石灰で吸収すると、二酸化炭素と水両方が吸収されるため区別できなくなる。
分子式の決定
分子式は、組成式の式量と分子量から求められる。
分子量の決定:
気体状態方程式
沸点上昇、凝固点降下の測定
浸透圧の測定
中和滴定
構造式の決定
有機化合物には、分子式が同一であっても、性質が異なるものが多い。
構造式は、化学的性質をもとに、官能基の推定して決定される。
高分子化合物
分子量が約 1 万以上の分子からなる物質は、高分子化合物という。
有機物質のほかに、炭素以外の原子からなる骨格を持つ無機物質がある。
天然高分子化合物、合成高分子化合物に分けられる。
構成
高分子化合物は、分子量が小さい分子が多数結合してできるものが多い。
分子量が小さい分子は単量体(モノマー、monomer)。
結合した高分子化合物は重合体(ポリマー、polymer)。
合成
単量体が多数結合して重合体になる反応を重合という。
- 付加重合:二重・三重結合をもつ単量体が連鎖的に付加反応を起こして重合する反応。
- 縮合重合:単量体が連鎖的に縮合反応を起こして重合する反応。
- 縮合:分子間で低分子化合物(
など)が脱離して結合する反応。
- 縮合:分子間で低分子化合物(
- 付加縮合:付加反応と縮合反応を繰り返して重合する反応。
- 開環重合:環状の単量体が環を開きながら連鎖的に重合する反応。
- 共重合:2 種類以上の単量体が重合する反応。
重合度:
性質
- 高分子化合物は、1 個の分子が大きいので、分子コロイドになる。
- 高分子化合物は、同一の名称の物質でも、分子量が一定でないものが多い。ある範囲の分子量を持つ分子の混合物として存在する。平均分子量が用いられ、浸透圧や粘度を測定して求められる。
- 固体の高分子化合物は、結晶領域と非晶領域が混在する。明確な融点が持たない、加熱すると軟化する、融解より分解するものが多い。合成高分子化合物は、熱可塑性、熱硬化性に分けられる。
合成高分子化合物:付加重合
ポリビニル化合物
エチレン及びエチレンの誘導体の二重結合が開いて、両脇の分子同士に付加する。
高温・高圧、もしくは触媒で常温で反応する。
| 単量体(モノマー)の名称 | 重合体(ポリマー)の名称 | 略記号 | |
|---|---|---|---|
| エチレン | ポリエチレン | PE | |
| プロペン(プロピレン) | ポリプロピレン | PP | |
| スチレン | ポリスチレン | PS | |
| 塩化ビニル | ポリ塩化ビニル | PVC | |
| アクリロニトリル | ポリアクリロニトリル | PAN | |
| 酢酸ビニル | ポリ酢酸ビニル | PVAc |
ポリエチレン PE
熱可塑性がある。
製法:エチレンの付加重合で得られる。